信州には、木村素衞の石碑が5つあります。その中で最も新しいものは、昭和56(1981)年、松本市内の信州大学教育学部付属松本小学校の庭に子供たちの手で建てられました。
小学校のメダカ池の氷もすっかり溶け、池の鯉も少しずつ動き出し、春を感じさせる季節になりました。私たち六年生はこの度小学校卒業記念品として、木村素衞先生の詩の碑を小学校の庭に建立いたしました。木村先生の詩は次の通りです。
底ひなく 深き愛あり ますらをよ 命の限り 努めざらめやも
この詩は、昭和13年、現在の付属小学校がまだ女子師範学校と呼ばれていた頃、素衛が先生を対象に講演をした後、浅間で書いたものだと説明していただきました。
私たちは、この石碑の前で貧しい農民のために命を賭けた多田加助や、自分の生活のすべてを捨てて世界の不幸な人々のために「人類はみな兄弟」と叫び、一生を赤十字に捧げたアンリ・デュナンのように誰に対しても、限り無く深い愛を注ぎ、一生懸命、凛々しく、これからの人生を励もうと誓いました。